心はやさしく 言葉は美しく

暮らしの中からやさしさと美しさをみつけてゆきます

今朝……やってきた  

 今朝

今朝 ガラス戸を開けたら

西風のにおいがした

 

夏の間 ベランダの戸は閉じられて

朝夕にもらう汲み置きの水で

日々をつないでいた鉢植えたち

乾いた花がらをつけたままのハーブや

皺をうかべてしぼんだサボテン

時おり猫がまぶしそうな目で

ガラス戸越しにながめていた

 

今朝 風は香ばしい草木のにおい

体温よりもひくいすずしさ

陽焼けしたサンダルをはいて

鉢植えたちにたっぷりと水をさす

季節が変わることが不思議に嬉しい

 

✏️めっきり朝夕は秋らしくなりました。

なんとなくワクワクします。

涼しくなったら着たい服があるし

行きたいところもあります。

食べたい物も、もちろんあります😍

季節が変わる・・・それだけで嬉しくなる。

そろそろ夏に飽きました。

秋が楽しみ、その後に冬も楽しみです。

 

 

 

 

風が季節を連れてくる

夏の終わりが見えますか?

私は街中(まちなか)に住んでいますが

それでも立秋が過ぎれば

秋の気配がビルをかすめる風や

午後の陽射しの傾きに

夏とは違う何かが見えます

ことに

やんちゃな夏の台風が去った跡……

 

  台風

 

とてもいそいで とてもあわてて
風がやってきた
あわてすぎて
ハナミズキの枝にひっかかる風もいた

 

つつじのしげみに
子どもをかくしている猫は
もっと良い場所をさがすように
わなを仕掛けている最中の蜘蛛は
作業を中止するように
風はいくすじにも分かれて
台風を皆に知らせた

 

次にどっさりと重たい雨が
すみずみまで降りそそぎ
アリの巣あなの中にも知らせた

 

風はどこへむかうのか決めていないので
木や家にぶつかっては行く先を変える
雨はリズムがとれなくなって
大きくなったり小さくなったりしながら
風にふりまわされる
空いっぱいの雲をかきまぜて
台風は思うまま突き進む

 

なんてうらやましい
気持ちいいあばれぶり
ガラス戸のこちら側で
わくわくしながら見ている

 

  * 台風が来ると何故か興奮してしまう。

    子供のころの思い出ですが…

    災害に遭われた皆様には不謹慎な詩です。

    お許しください。

    ブログにお立ち寄りくださいまして

    ありがとうございます。

 
 

 

 

 

 

 

 

 


暮らしの中には美しいことがたくさんあって…でも大方は一人でその時をやり過ごしてしまう。誰かに話したくなっても機会がないままに過ぎていく。

それは いつものことだから…

 

  いつもと同じ

 

夕飯はいらないよ

夫のひとことに胸の内がこおどりする

いつもと同じ顔でイッテラッシャイと送る

さあ 食器を洗おう掃除をしよう

洗濯物を干す布団を干す

くるくるうごくうごく

いつもより頑張ってうごく

 

いつもなら昼の仕事が片付くと

夕方の仕事が始まる

けれど今日はちがう

今日の午後は私のもの

その気持ちお見通しと

洗濯物も風に小躍りする

干した物は乾いてたたんで

掃除機も早目にひっこんで

それもこれも済んだ終った

今日こそ毛布にくるまって本を読む

そのうちとろとろ眠くなって

長い午後に浸ろう

ガラス戸をしめてカーテンをとじて

ひっそりと午後は立ち止まったままだ

 

どれくらい陽はかたむいたのか

カーテンのすきまから

床に這う西陽のすじをたどる

部屋の隅がもやもやしてきた

こうしてはいられない

もやもやが闇になってふえて

さみしくなりそうだ

 

毛布をはねのけ起き上がらなくては

灯りを点けなくては

台所の蛍光灯がぱちんと目をさました

ぱちんぱちんぱちん

まな板も蛇口もシンクも

カゴにあげたちゃわんも目を覚ました

 

夕闇が側に寄ってこないように

お湯を沸かしてゆげをのぼらせよう

やさいを洗えば水は賑やかに踊る

やさいを刻めばまな板はいい音で鳴る

とんとととんとと歌って

鍋の豚汁がおいしいにおいになる

ここまでくればだいじょうぶ

凍えた手で帰る夫を待てばいい

いつもと同じ夜がきた

 

   最後までお読みいただきありがとうございました。

   結局は幸せや安心はこんなところでした。

 

 

故郷の遊び場

子供の頃、たくさん遊んだ場所を
覚えていますか?

神社やお墓が面白かった…とか
意外にちゃんとした公園より
怒られそうな場所で遊んだものです☺️
よく出来たおもちゃより
間に合わせのナニかのほうが
想像力を掻き立てます

故郷の秘密基地

ふるさとの秘密基地は
坂の下のバス停 グランド入口
丘のグランドまでは登り坂
両側が茶畑で
五月はきらきら新芽が輝いて
空気は澄んでいた

まぶしい坂を登ってゆくと
グランドの向こうは野っ原
枯れ枝を集めて
屋根がない秘密基地を作った

草と虫の匂いの中に寝ころんで
夢はたくさんあった
いつか大人になるなんて
考えられなかった

その場所へ行って
思い出してみたいことがある
子供の頃の自分に聞きたい
けれど
バス停のありかが
どうしても思い出せない

*みんなやったでしょ‼️秘密基地作り
隠れ家って楽しいね~😊

八月と蝉と...

八月はいよいよ盛夏となり

逃げ場のないような暑い日が続きますが

陽射しの中に

地を這う熱っぽい風に

街路樹の枝ごと揺れる激しい葉擦れに

何かを感じます

 

遠い 遠い過去が

忘れないで下さい

忘れないで……

 

蝉達の鳴き声に混じって

聞こえてくるような

 

 

 八月

 

蝉が鳴いている

桜並木の黒い葉影の道

道のむこうは 博物館 動物園

 

陽ざしを砕いて噴水が愉快に跳ねる

子ども連れに追いこされ

私達はゆらゆら歩く

 

道端の母子像の前で

夫が立ちどまり 何か言った

聞き取れなかったけれど わかった

 

かたわらに新しい千羽鶴

みずみずしく匂う百合の花束

ずっと昔の八月に捧げられた供物

 

蝉が鳴いている

楽しく夏を過ごす私たちに

伝えたいことがあるように

 

 

* 添付写真は版画家岩崎浩三(日本版画院)先生から

  詩「八月」にとくださったものです。

 

 

 

  上野公園内の母子像「時忘れじの塔」は

  落語家の故林家三平さんの奥様と有志の皆さんとで

  建立されたそうです。八月は花束が溢れています。

 

 

  

 

 

 

夏休み  お祭り  盆踊り


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八月に入って夏休みは後半に突入します。 夏祭り、盆踊り、この夏は少しずつ元の状態に戻れて 楽しむことができました。 遊びに来ていた孫もそろそろ忙しくなる(笑)      

 

   夜店の宝石

 

  盆踊りの夜

 四歳の孫をとらえたのは夜店に並んだ宝石

 裸電球が金色の光を広げる下で

 おもちゃの宝石たちは美しい

 

   ばあばが買ってあげる  どれにする?

 真剣な眼差しになって 四歳の乙女心が迷いだす

 手に取ってもどして 目移りをくり返す

 

 南国の海を閉じ込めたアクアマリン

 氷の中に虹が見えるダイアモンド

 

 選んだのはとろけそうに輝く大粒のルビー

 百円玉3枚で買える指輪を

 孫は大切に受け取って指につけた

 

 今夜 この子が眠る枕の横で

 ルビーはプラスチックに変わるけれど

 二人で宝石店のはしごをして

 ルビーを買ったこと

 ばあばは忘れないよ          

 

  🎈 ちいさな楽しみを積み重ねると        

     素敵な想い出がたくさん詰まった  

      美しい宝石箱が出来上がります✨